Jポップシーンの最前線で起きている“見えない”革命
2026年、Jポップシーンはかつてないほど多様化している。Kenshi Yonezuの「IRIS OUT」が世界的ヒットを記録し、Spotify上半期ランキングでMrs. GREEN APPLEやback numberがトップを賑わせる中、音楽と“視覚表現”の境界線を溶かすアーティストたちが静かに注目を集めている。その一人が、特殊メイクアップアーティストのKaihoだ。
彼の名前を一躍有名にしたのは、映画『Invisible Half』で描かれた“透明な男”の造形。しかし、Kaihoのクリエイションは単なる映画の枠を超え、King Gnuをはじめとする現代Jポップのビジュアル世界に大きなインスピレーションを与えている可能性がある。
KaihoとKing Gnuの“見えない”共通言語
Kaihoはこれまで、様々な人気アーティストのミュージックビデオを手掛けてきた。彼が生み出す“ポップな色彩”と“未知の生物やモンスター”は、King Gnuの楽曲が持つダークで複雑なサウンドスケープと奇妙に調和する。特に、King Gnuの常盤響が手掛けるビジュアルコンセプトには、現実と幻想の境界を曖昧にする要素が多く、Kaihoの“透明なモンスター”はその延長線上にある表現と言えるだろう。
「私たちは『見えるもの』だけで世界を判断してしまいがちですが、Kaihoの作品は『見えない存在』に命を吹き込むことで、鑑賞者の想像力をかき立てます。これはKing Gnuの音楽が持つ、言葉にならない感情を音で表現するアプローチと完全にリンクしています」と、音楽プロデューサーは語る。
Spotifyランキングが示す“可視化”された熱狂
一方、2026年上半期のSpotifyランキングは、Kenshi Yonezuの「IRIS OUT」が圧倒的なストリーミング数を記録。この楽曲が映画『チェンソーマン レゼ篇』のテーマとしてリリースされたことも、アニメと実写の境界を越える文脈として興味深い。Kaihoが手掛けた“透明な存在”は、まさにこの「境界を越える」テーマを具現化している。
- Kenshi Yonezu「IRIS OUT」:274万回以上のグローバルストリーム、Spotify Japan初の1日100万回再生を達成
- Mrs. GREEN APPLE「lulu」:アーティスト部門1位、トップ3に安定した強さ
- back number、BTS、嵐:それぞれが独自のファン層を維持しつつ、新たなリスナー層を開拓
“透明”から生まれる新たなJポップの物語
Kaihoの創作の原点は、小学校時代に100円ショップの粘土で作品を作り、水木しげるの『墓場鬼太郎』に影響を受けたことにある。その“目に見えない恐怖と美しさ”の感覚は、King Gnuの楽曲「白日」や「一途」が持つ、内面的な葛藤や儚さを描くテーマと深く共鳴する。
「音楽も特殊メイクも、最終的には人の感情を動かすためのツールです。目に見えないものをいかに可視化するか——それが私たちの仕事です」とKaihoはインタビューで語っている。彼はForbes JAPAN 30 Under 30 2024にも選出され、浅野忠信監督の短編映画『男と鳥』でも衝撃的なコスチュームと特殊メイクを手掛けた。
2026年下半期、King Gnuがどのようなビジュアルで新たな音楽を届けてくるのか。もしかすると次回作のMVには、Kaihoが生み出す“透明な何か”がひっそりと登場するかもしれない。